絵やイラスト制作のためのアプリやソフトが手軽に手に入るようになり、作品は作りやすくなりましたが、自分で描いた絵を売れるサイトや絵の売り方がわからない人もいるでしょう。この記事では、絵を売る方法やおすすめのサイト・アプリ、絵を売るコツや相場価格、注意点などを紹介します。
絵を売る方法
1. 現物やプリント品をネットで販売する
ネットで絵を売る方法として最も簡単なのは、自分が描いた絵の現物をECサイトを通して販売する方法です。作品のサイズや形態(現物、作品をプリントしたものなど)は制作者が決定します。例えば、キャンバスに描いた絵を一点物として販売したり、高品質なプリント品を作成して複数の顧客に販売したりすることも可能です。ECショップなどで販売する際は、作品の良さが伝わるように撮影し、詳細な説明を付けることで、顧客の関心を引きやすくできるでしょう。
2. 絵のデータを販売する
ダウンロードできるアート作品や素材として絵を売る方法もあります。データ販売では、販売者は配送の手間などを省くことができ、購入者は送料の負担がなくすぐにアートを手にすることができるというメリットがあります。
アート作品を販売する場合、数を限定せずに販売することもできますが、一点物や数量限定作品としてデータを販売することもできます。ただし、データを販売する場合には二次使用(データをそのまま転載、引用し再利用すること)が可能か、可能な場合は料金はいくらかといった規定も忘れずに設定しましょう。
素材として絵を売る場合は、企業の資料やパンフレットの挿絵、ウェブサイトのデザインなどに使える絵を作成し、ダウンロードできるフォーマットで販売します。素材として絵を売る場合、販売単価が低い傾向にあるため、多くの人が使いやすいシンプルかつ汎用性の高いイラストを作成する、SNSなどを使って集客するなど工夫が必要です。
3. オーダーメイドの絵を制作し販売する
購入者が希望する絵をオーダーメイドで制作し販売する受注販売でも絵を売ることができます。絵を売れるサイトで受注販売する場合、金額だけでなく商用利用や二次利用が可能か、無料での修正は何回まで行えるか等の詳細を記載しておきましょう。
また、絵を売るサイト以外に、個人のサイトやSNSアカウントから直接依頼が来る場合もあります。その場合には金額や絵の内容、納期などを顧客と直接交渉してから販売します。
4. 自分の絵を使ったオリジナルグッズを制作し販売する
自分の絵をTシャツやスマホケースなどにプリントしたオリジナルグッズを制作することで絵を売ることもできます。Printfulのようなプリントオンデマンド会社を利用すれば、受注からプリント、出荷まで代行してくれるドロップシッピングができるため、手軽に絵を売ることができます。
5. オフラインで絵を売る
絵の売り方には、ネットでの販売だけでなく、展示会を開いたり、ポップアップストアや委託販売を利用したりする方法もあります。
ネット上では絵の雰囲気やインパクトが伝わりにくく作品の良さが半減してしまうことがあるため、オフラインで直接絵を売ることで作品の細部まで鑑賞してもらえ、制作者の想いを伝えることができます。
6. SNSで絵を売る
Instagramなどでソーシャルコマースを活用する方法もあります。例えばインスタグラムの場合、ショッピング機能を利用して絵を売るか、プロフィールにECサイトのURLを貼り販売チャネルへと誘導することができます。プロフィールの工夫や継続的な投稿、フォロワーとのコミュニケーションなどインスタマーケティングに力を入れることで、自分の絵に興味を持ってくれるフォロワーを獲得し、絵を売ることができます。
また、SNSで一定数のフォロワーを獲得できれば、個人の展示会や継続的な絵の販売も可能になるでしょう。
ネットで絵を売るのにおすすめのサイト
Shopify/自社ECサイト
Shopifyを使えば、ウェブサイト制作の知識がなくても簡単にネットショップを開業できます。自分が制作した絵を商品としてECショップに並べることができるだけではなく、独自ドメインを取得し、ブランド構築することも可能です。また、商品ページだけではなく、ブログや自身の今までの作品をまとめたポートフォリオなども掲載できるため、顧客に興味を持ってもらったり、自身の作風を的確に伝えたりすることもできます。Pinterest(ピンタレスト)などのSNSとの連携もできるため、SNSマーケティングを行いながら効率的に潜在顧客にアプローチできます。
イラストAC/素材サイト
イラストAC(イラストエーシー)は、フリー素材のダウンロードサイトです。フリー素材サイトとして認知度も高いためダウンロードされやすく、企業からの仕事の依頼につながるケースもあります。本業の合間にサイドビジネスとして始めるのにもおすすめのサイトです。絵をイラストACにアップロードするのは無料で、ダウンロードごとに4.36ポイント(4.36円)の報酬が獲得できます。換金は5,000ポイントから可能です。
PIXTA/素材サイト
PIXTA(ピクスタ)は、イラスト素材だけではなく、画像素材や動画素材、音楽素材を販売できるサイトです。PIXTAのサイトで絵を売るには入門講座・入門テストを受ける必要があり、著作権や肖像権、素材販売の注意点を学ぶことができ、絵をネットで売るための知識を深めてから販売を始められます。PIXTAはクリエイターランクによって報酬率が変動する仕組みで、単品購入と定額制では利率が違います。単品購入された場合は22〜58%、定額制で購入された場合は0.27〜0.85クレジットで、10クレジット以上から1クレジット110円(税込)で現金に換金できます。
Adobe Stock/素材サイト
Adobe Stock(アドビストック)は、絵や画像、ビデオ、オーディオなどの素材を販売できるサイトです。販売するにはAdobe Stockアーティストになる必要があります。必要条件は、18歳以上であることと、アップロードするファイルの唯一の所有者であることです。画像が購入されると33%のロイヤリティを得られますが、支払いを受けられるのは獲得したロイヤリティが25ドルを超え、最初の販売から45日経過している場合です。
ココナラ/受注販売サイト
ココナラは、個人のスキルを売り買いできるサイトで、サービス提供は全てオンラインで完結します。事前に細かく料金や納期などを設定して販売するほかに、見積もり依頼を受けることも可能です。ココナラでは手数料が22%かかり、サービス売上3,000円以上から振り込み手数料が無料になります。
SKIMA/受注販売サイト
SKIMA(スキマ)は、個人のクリエイターに絵やロゴ制作などを依頼できるサービスです。クリエイターが出品をして購入者を募る形態だけではなく、購入者が募集している案件に応募して絵を販売することも可能です。販売手数料は個別販売総額(出品金額とオプション料金の合計)によって11〜22%がかかります。
クラウドワークス/受注販売サイト
クラウドワークスは、業務委託の仕事をネット上で発注・受注できるマッチングサイトです。クラウドワークスで絵を売るには、絵を購入したい人による募集を探し、それに提案する必要があります。販売価格については、購入者の予算が明記されている場合と、予算を提案できる場合があります。また、クラウドワーカーとしてプロフィールを登録することで、絵を購入したい人からの直接依頼を受けることも可能です。報酬額に応じて5〜20%のシステム利用料金が発生します。
メルカリ(フリーマーケット)
フリマアプリのメルカリも、絵を売るアプリを探している方におすすめです。メルカリには、個人向けのメルカリと、個人事業主や企業向けのメルカリShopsがあります。どちらでも絵を売ることができ、メルカリShopsなら無料で自分のECサイトを開設できます。メルカリで絵を売る際の手数料は売り上げの10%で、出品は無料です。
絵をネットで売るコツ
流行やニーズに合わせた絵を制作する
流行やニーズに合わせた絵を制作することで絵が売れやすくなります。ウェブサイトや広告などでは、季節やイベントごとにバナーを作成したりパンフレットを作り替えたりするため、季節に合った絵の需要が高まります。個人でも、クリスマスカードや年賀状のデザインをネット上で探す人は少なくありません。また、レトロモダンや、アイソメトリック(斜め上から見たようなデザイン)など絵にも流行があるため、注目されているタイプに合わせるのも売り上げにつながりやすくなるでしょう。
集客にSNSを使う
InstagramやPinterestなどのSNSを活用して集客しましょう。自身の絵や作品を見てもらえない限り販売にはつながらないため、作品やプロフィールなどをSNSで紹介し、より多くの人に見てもらえるようにしましょう。現時点では絵を購入する予定がない人にも、将来絵が必要になった際に思い出してもらえる可能性があります。必要に応じてFacebook広告などの広告を利用するのも効果的です。
ポートフォリオを充実させる
自分の作品をまとめたポートフォリオを充実させ、顧客がいつでも見られる状態にしておきましょう。絵の販売実績があると顧客は安心感を覚えるため、販売実績などまとめておくことも大切です。また、企業からの依頼の場合、今までの実績や絵のテイストなどを重視する場合もあるため、資料として提供できる形にしておくことで、商談のチャンスが広がります。
絵を売る際の相場は?
イラスト素材の相場
1点あたり数円〜500円程度が相場です。1点あたりの価格設定は低いですが、人気のあるイラストは多数ダウンロードされるため、合計金額が上がります。サイトによってはポイント制を導入しており、ある程度ポイントが貯まらないと換金ができない場合があります。
受注販売の相場
自分で単価を決められるため、好きな金額を設定できます。例えば、結婚式のウェルカムボードや似顔絵制作などは3,000〜15,000円程度が相場となり、制作者により大きく金額が異なります。
オリジナルグッズの相場
オリジナルグッズ販売の場合、グッズの種類により相場は異なりますが、Tシャツなら1,000〜3,000円程度です。販売価格は自分で決められるため、グッズの料金に絵の制作料金を上乗せして販売しましょう。
一点物の相場
オリジナルの一点物の絵を販売する場合の相場は、数千円〜数十万円と幅広くなっていて、材料費や制作にかかった時間、需要などで単価が変動します。最初は、労力と価格は合わないかもしれませんが、人気が高まれば単価も高く設定できるようになります。
ネットで絵を売る際の注意点
著作権
ネットで絵を売る際、著作権は誰に帰属するかを明確にする必要があります。絵を販売した際、著作権を放棄していないのにもかかわらず、購入者は自身に著作権があると思っているケースなどがあります。
また、絵を売るサイトによっては、販売を開始した時点で著作権が運営会社へと譲渡される場合もあるため、自社サイト以外で販売する場合にはしっかりと利用規約を読む必要があります。万が一販売サイトへ著作権が帰属する場合、自分が作った絵だったとしても同じ絵を使ったオリジナルグッズの販売等はできなくなります。
肖像権や著作権に違反するような絵の販売も行わないようにしましょう。有名なキャラクターや有名人の似顔絵を無許可で使った絵は肖像権侵害、著作権侵害となります。
販売ルール
販売する絵は商用利用が可能なのか、著作権譲渡は行われるのか、受注販売の場合はラフ(下書き)を提案するかなどのルールを決めておくことでトラブルを回避できます。
納品物が顧客のイメージとかけ離れていたり、勝手に二次利用されていたりなどといったトラブルは少なくありません。そのため、顧客に細かくヒアリングを行い、二次利用は禁止する(または有料で二次利用可能である)旨を伝える必要があります。また、何度も「イメージと違う」として提案のやり直しを要求されるケースもあるため、「提案は◯回まで」と記載するのも良いでしょう。
顧客と販売者が気持ちよく取引ができるよう、事前にルールを明確にしておくことをおすすめします。
配送方法
絵をネットで売る場合、額装した作品やキャンバスが配送中に傷ついてしまわないよう厳重に梱包する必要があります。例えば、ヤマト運輸ではアートボックスや美術便などアート専用の配送システムが用意されています。ポスターなどのプリント作品を販売する場合は、段ボールの円筒に梱包し発送する方法が一般的です。
大切な絵を傷つけないためにも、作品の素材や形状などに適した梱包方法で配送するようにしましょう。
まとめ
絵の売り方は数種類あり、ネット上で絵を売る場合でも、自分のECサイトやイラスト素材サイト、クラウドソーシングサイトなど多岐にわたります。SNSを活用した販売やマーケティングも可能で、自分の作品を見てもらう機会を増やすことでより売り上げにつながりやすくなります。ほかにも、SNSで絵のファンを増やし、展示会を開いてオフラインで絵を売るのも一つの方法です。
著作権や販売ルール、配送方法など注意点もありますが、趣味でお金を稼ぐのを目指している人は、この記事を参考に絵を売るのを仕事にしてみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
ネットで絵を売ると手数料はいくらかかる?
ネットで絵を売るときの手数料は使用するサイトにより異なりますが、受注販売サイトを利用する場合、販売金額の5%から22%の手数料がかかります。例えば、ココナラは22%、SKIMAは11%から22%、クラウドワークスは5%から20%の手数料が発生します。
絵をネットで売るベストな方法は?
絵をネットで売るベストな方法は、ShopifyなどのECプラットフォームを使用して自分のオンラインストアを作り販売することです。価格設定や販売形態を自分で決めることができるためです。同じように自分で価格などを設定できるInstagramなどのSNSを使って販売する方法もおすすめです。
絵をネットで売るのは利益になる?
絵をネットで売るのは利益になります。利益を得るためにはマーケティングや値付けをしっかりすることが重要です。さらに、Shopifyなど自分のECサイトを使って販売すると、マーケットプレイスで販売したときに比べて手数料が格段に安くなるため利益を大きくできます。
NFTの絵を売る方法は?
唯一性が証明されたデジタルアートであるNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の絵を売るには、MetaMask(メタマスク)のようなデジタルウォレットを作成し、NFTマーケットプレイスでアカウント開設する必要があります。
文:Momo Hidaka