オンラインショッピングが普及する以前は、商品を購入した周囲の人から体験を聞いてアドバイスをもらい、買い物するのが一般的でした。
インターネットの時代はどうでしょうか? 結局わたしたちはまだ、周囲の人の体験談に耳を傾けています。しかし違いもあります。相手はご近所さんではなく、インターネット上にいる人々なのです。ドアをノックして意見を聞く代わりに、わたしたちはレビュー欄のおすすめを読みます。同じことが、Shopifyアプリストアとマーチャントのレビューにおいても言えます。情報豊かなアプリレビューはマーチャントに役立ちます。ぜひこのレビューを活用してほしいと思います!
今回の記事では、パートナープログラム規約を遵守しながら、アプリのレビューをいつどうやってマーチャントにお願いすればいいかを解説します。
マーチャントのアプリレビュー
マーチャントがアプリをインストールすると、レビューする権限が与えられます。星1~5で評価でき、アプリ体験を簡潔に書き残すことが可能です。これらのレビューは、ほかのマーチャントがアプリをインストールすべきかどうか決める際に重要な役割を果たします。
なぜでしょうか?
レビューがあることによって、アクティブなユーザーベースの証拠となるだけでなく、マーチャントがストアでアプリを使う際の流れを理解することができ、またアプリに問題が生じたときに開発者がどれくらサポートしているかを把握することができるのです。
こうした要素を考慮するなら、優先的にできるかぎり多くのレビュー獲得を目指すべきでしょう。しかし、アプリのデザインや構築に熱意を注ぐのと同じくらい、ユーザーレビューの獲得に戦略的に取り組む必要があります。何度も押しつけがましい感じでマーチャントにレビューをお願いすると、彼らは面倒に思ってアンフェアでネガティブなレビューを残したり、アプリまで放棄したりするかもしれません。
仮に、罪悪感の押しつけやワイロのように捉えられる方法でレビューを依頼した場合、インセンティブレビューとみなされ、これはパートナープログラム規約に違反する行為となります。その場合は運用側のアクションが実施され、指定レビューの削除、またはアプリストアとShopifyパートナープラグラムからの完全排除というケースも考えられます。
それでは、アプリ開発者として何ができるのでしょうか?
レビューをお願いする正しい方法
まず重要なのは、虚偽やインセンティブ型の不当なレビューはパートナープログラム規約に違反するということです。マーチャントは、明示的に星5のレビューを書くよう要求されるべきではありません。こうした信頼できないレビューがあると、Shopifyアプリストアのエコシステム全体の品位が傷つけられます。そしてサードパーティアプリに対するマーチャントの信頼や利用意欲を阻害することになるのです。
またアプリ開発者としては、ポジティブなレビューでアプリの価値を評価してもらいたいと思います。しかし、アプリの欠点や改善できそうな領域を指摘してくれるレビューも同じように非常に価値があります。マーチャントがアプリに何を望んでいるかを理解することで、もっとユーザーを増やせるさらに良いプロダクトを作れるようになります。最大の支持者は、元々懐疑的だった人々、ということもよくあるのです。
以上のことを踏まえ、質の高いレビューを得るための、わたしたちが推奨するベストプラクティスを見ていきましょう。Shopifyアプリの改善と成長に役立つはずです。
いつ?
タイミングがすべてです。急ぎすぎたり、変なタイミングで依頼すると、あまり質の良くないレビューとユーザーエクスペリエンスに直結します。頃合いを見るには次の方法がお勧めです。
やるべきこと
・マーチャントがアプリをある程度使用して機能や価値がわかった頃に依頼する。アプリによる課題の解決やストアの改善を経験すると、マーチャントはその成功体験を共有したいという気になります。また、アプリ改良のために新機能の提案をしてくれるかもしれません。
・無料トライアルを提供している場合はトライアルが終了するまで待つ。マーチャントのアプリに対する印象は、課金開始後に変わってきます。また、トライアル期間を終えてアプリを使い続けているということは、アクティブなユーザーだといえます。そのため、無料トライアルが終わってからレビューを依頼することが重要なのです。
やるべきでないこと
・オンボーディングの最中にはレビューを依頼しない。ユーザーはアプリに十分な時間を費やさないことには誠実なレビューを書くことができません。まとまった意見を書けるまで時間を与えましょう。また、オンボーディング中のレビュー依頼は、「アプリを使うにはレビューを書くことが必須」という誤解をユーザーに与えかねません。再三ですが、これはインセンティブレビューとみなされ、パートナープログラム規約違反となる可能性があります。
どこで?
いつレビューを依頼すればいいかわかったところで、次はどこでメッセージを届ければいいかを考えましょう。レビューをリクエストする場所のベストプラクティスが以下になります。
やるべきこと
・プロダクト内の適切な場所にメッセージを組み込む。ほかのスペースの邪魔にならない位置にレビューを依頼するセクションやエリアを置きます。レビューを書きたいと思っているマーチャントが直感的にわかる場所にすることが重要です。ただしトップバナーやポップアップのようにしつこい仕組みにすると、ユーザーエクスペリエンスを損ないます。
Shopifyが開発したアプリの例
バナーの評価をクリックすると、アプリストアの評価ページが開かれる
・マーチャントがオプトインしているニュースメール内でレビューを依頼する。合理的な方法であるなら、マーチャント向けのメール内にアプリレビューを依頼する項目を追加してもかまいません。注意:良いレビューを書くよう明言するのはインセンティブに該当する場合がありますが、体験を共有してもらうようシンプルに依頼するのは問題ありません。
・サポート対応の後にフォローアップする。サポート対応でケアしてもらったあとは、マーチャントはその体験を共有したい気持ちが高まります。
やるべきでないこと
・押しつけがましく、しつこく、行き当たりばったりにやらない。レビューのお願いが流れとして自然に感じられるセクションやエリアを設けましょう。しつこいスタイルはユーザーエクスペリエンスにとってマイナスとなります。
・求められていないメールを送信しない。これはスパム規制(カナダのCASLやアメリカのCAN-SPAMなど)の違反行為に該当します。またパートナープログラム規約にも違反します。メールを受け取る意思があるかをユーザーに確認し、合理的なタイミングでお願いするようにしてください。
こちらも参考にしてください: Shopifyアプリストアの広告:アプリユーザー数を伸ばすための新しいチャネル
お願いするときの言い回し
リクエストのタイミングと場所がわかったので、次は最重要にして厄介なパートを見ていきます。それは、どんな言葉でお願いするか、です。
以下では、使える提案例と使うべきでない例を示しています。このセクションは入念に読むようにしてください。不適切な表現を用いると、重大な運用違反となってアプリストアから排除ということもあり得ます。
やるべきこと
・マーチャントの体験の共有をお願いする。すべてのレビューは、あなたがアクティブで熱意あるユーザーベースを獲得している証拠です!好意的なレビューはアプリの価値を示し、建設的なレビューはアプリを改良するフィードバックの金脈を示しています。さらに、あなたはレビューに返信することもできます。そうすることで、アプリ改良に意欲的で、可能なかぎりマーチャントのために努力するという姿勢を示せます。
・マーチャントが拒否できるようにする。「レビュー依頼をもう表示させない」という選択肢があれば、マーチャントは意見が尊重されていることに感謝するでしょう(上記の例のバナーに閉じるボタンがあることに着目してください)。
・別のサポートチャネルも提供する。ユーザーがアプリへのフィードバックを望んでいて、ただしレビューは書きたくないという場合に、サポートへのコンタクト方法がわかるようにしておきましょう。
レビュー依頼で使える表現の例
以下の例は、アプリレビューを依頼する際にまったく問題がない表現です。
・「あなたのアプリ体験を聞かせてください! Shopifyアプリストアでレビューをお願いします。」
・「あなたの意見は大切です。アプリがどう機能したか、ほかのマーチャントにも知らせましょう。Shopifyアプリストアにレビューを残してください。」
・「フィードバックはわたしたちにとって重要です。レビューを書いていただけると幸いです。」
・「アプリをどのように使いましたか? 率直なフィードバックがアプリの改善を促進します! Shopifyアプリストアでレビューをお願いします。」
やるべきでないこと
・明示的にポジティブなレビューを依頼しない。レビューを好意的に書くよう依頼することは、レビューを残すにあたってバイアスを作り出し、またパートナープログラム規約に違反します。
・レビューと引き換えに割引や特典を提供しない。これはインセンティブとみなされ、パートナープログラム規約で厳しく禁止されています。
・レビューを強制されているように感じさせない。マーチャントを不安にするだけではなく、仕方なく書いたり文字数を埋めたりという不誠実なレビューやコメントにつながります。
・レビューの編集や改訂、削除を依頼しない。マーチャントは意見を聞いてほしいと思っています。わたしたちは、レビューへの返信機能を使うことを推奨します。公に問題に対処することで、ほかのマーチャントに対して不満の声を吸い上げていることを示すことができます。マーチャントは返信に感謝し、フィードバックに対するあなたの返信次第では、もっと積極的にアプリユーザーとなってくれるでしょう。
・誘導的な質問でレビューを依頼しない。誘導によって、ポジティブな状況を前提としている場合、それほど良い体験をしていないユーザーはレビューをためらいます。また、このようなトーンで依頼することは、インセンティブレビューにカテゴライズされます。以下にそうした表現例を記載しています。
使ってはいけない表現の例
以下の表現は、インセンティブレビューとみなされる可能性がある事例です。こうした言い方を用いると、運営側がレビュー削除を含め何らかのアクションをとることがあります。
・「発展のためにあなたの助けが必要です。どうかアプリストアにコメントを書いてください。」
・「ビジネスを成長させるためにはアプリストアのレビューが頼みの綱です。」
・「5つ星の評価がもらえれば、わたしたちのチームはもっと奮闘します。」
・「良いレビューを書くとアプリが無料のまま使えます。」
また、誘導的な質問でレビューをお願いすることもすでに述べたように禁止されています。以下の例では、誘導的となっている箇所を太字にしてあります。
・「このアプリはあなたのビジネスに役立ちましたか? Shopifyアプリストアでレビューを書いてほかのマーチャントにも知らせてください。」
・「このアプリを楽しんでいますか? レビューを書いて教えてください。」
・「アプリを楽しんだ理由を聞かせてください! Shopifyアプリストアにレビューを残して、教えてください。」
こうした表現は、レビューを残さないことの罪悪感をマーチャントに与えたり、アプリで嫌な体験をしても不正直なレビューを残そうという気にさせたりするものです。さらに、5つ星レビューやポジティブなレビューを明示的に依頼することは、本来であればアプリの改善と成長につながるはずの、正直で建設的なフィードバックを阻害します。
レビューはマーチャントにも開発者にも有益
情報量のあるアプリレビューは、「すべてのフィードバックはギフト」であることを証明しています。重要な情報をマーチャントに与え、開発者はアプリを改良する余地を見つけることができます。正しいタイミングで適切な場所において妥当な表現でレビューを依頼することは、アプリの成長にとって大きな後押しとなるでしょう。
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