越境ECで商品を海外販売するにあたって、さまざまな発送方法があります。しかし、国際小包の海外発送は送料が高額になりがちで、利益を圧迫してしまうケースも少なくありません。「どんな配送方法があるの?」「送料をもっと安く抑える方法は?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国際小包を海外発送する4つの方法と、その料金を比較します。さらに、主要運送会社6社の料金比較や、海外発送の費用を節約する方法についても解説します。
国際小包の発送方法4つと料金比較
1. 船便
発送料金:4つの方法の中で最も安い
配送時間:1~3ヶ月程度
船便は、船で荷物を運ぶ方法で、急ぎではないので料金を安く抑えたい場合におすすめです。日本郵便の国際郵便サービスでは、国際小包の発送方法として、船便と航空便を選択できます。
他の発送方法と比べて料金は最も安いですが、航空便よりも配送時間が長くなります。
たとえば、船便で重さ10kgの荷物を東京からアメリカ(ニューヨーク州)に配送する場合、料金は8,900円、配送時間は2〜3ヶ月程度です。
2. 航空便
発送料金:船便、SAL便よりも高い
配送時間:3~6日程度
航空便は、飛行機で荷物を運ぶ方法で、時間を重視し、迅速に配送したい場合におすすめです。船便と比較すると料金は高くなりますが、より短い時間での配送が可能です。
ただし、荷物や配送先によっては、3〜6日以上かかる場合もあるため、注意が必要です。たとえば、日本郵便の航空便で重さ10kgの品物を東京からアメリカ(ニューヨーク州)に配送する場合、料金は26,700円で、配送までに14日程度かかります。
3. SAL便
発送料金:船便より高く、通常の航空便より安い
配送時間:6~13日程度
日本郵便が提供するSAL便は、エコノミー航空便とも呼ばれる航空便の一種で、コストと配送時間のバランスを取りたい場合に最適な選択肢です。日本国内と到着国内は船便で輸送し、両国間の輸送は航空機を利用するため、船便よりも速く、航空便よりも料金が安いという特徴があります。
たとえば、SAL便で重さ10kgの品物を東京からアメリカ(ニューヨーク州)に配送する場合、料金は12,700円、配送時間は2週間前後です。
ただし、SAL便は対象地域が限られているため、希望の配送先がSAL便に対応しているかどうかを事前に確認しましょう。
また、2024年5月現在、コロナ禍の影響により、SAL便は全面的に停止されています。今後再開される可能性もあるので、SAL便での配送を希望する場合は、最新情報を確認してください。
4. EMS
発送料金:4つの方法の中で最も高い
配送時間:2~4日程度
日本郵便が提供するEMS(「Express Mail Service」の略)は、航空便の一種で、料金よりもスピード優先で届けたい場合におすすめです。一般的な航空便よりも優先されるため、より短時間で品物を届けられます。ただし、料金は4つの方法のなかで最も高額になります。
こちらも航空便と同様に、荷物や配送先によっては、2〜4日以上かかる場合があります。たとえば、EMSで重さ10kgの品物を東京からアメリカ(ニューヨーク州)に配送する場合、料金は27,100円で、配送までに11日程度かかります。
主要運送会社6社の料金比較
1. 日本郵便
日本郵便は、前述した船便やSAL便、EMSなど、用途に合わせてさまざまな国際郵便サービスを提供しています。配送エリアは第1〜5地帯に分かれており、エリアや荷物のサイズ、重さなどによって料金が異なります。
日本郵便の航空便で、郵便局から発送できる国際小包の大きさ、重さ、料金、配送時間は下記のとおりです。
大きさ:長さ150cm、長さ+胴回り=300cmまで、または長さ105cm、長さ+胴回り=200cmまで(国によって異なる)
重さ:30kgまで
料金と配送時間(東京から重さ10kgの荷物を送る場合):
- アメリカ(ニューヨーク州):26,700円、14日程度
- フランス:23,200円、9日程度
- 韓国(釜山):8,350円、6日程度
割引:一度に出す個数が10~49個で10%割引、50個以上で20%割引適用
2. ヤマト運輸
ヤマト運輸は、世界200以上の国と地域を対象に、「国際宅急便」を提供しています。配送エリアはゾーン1からゾーン4までに分かれており、料金はゾーンや荷物のサイズ、重さに応じて設定されています。また、便利な自宅集荷サービスも提供しています。
ヤマト運輸で海外に発送できる国際小包の大きさ、重さ、料金、配送時間は下記のとおりです。
大きさ:縦・横・高さの合計が160cm以内
重さ:25kgまで
料金と配送時間(重さ10kgの荷物を送る場合):
- アメリカ:11,950円、4~6日程度
- フランス:13,700円、4~6日程度
- 韓国(釜山):8,700円、3~5日程度
割引:ヤマト運輸の営業所に直接持ち込みで、1個あたり100円の割引
3. 佐川急便
佐川急便は、世界220以上の国と地域を対象に、「飛脚国際宅配便」を提供しています。配送エリアがAからHの8地帯に分かれており、料金は配送地帯、荷物の大きさ、重さによって異なります。日本国内からはどこからでも一律の運賃で国際輸送が可能で、自宅集荷サービスも提供しています。
飛脚国際宅配便では、ビジネス書類やカタログなどの印刷物向けの「ドキュメントクーリエ」と、小さな荷物向けの「スモールパーセル」の2つのサービスがあります。
佐川急便で海外に発送できる国際小包のサイズ、重さ、料金、配送時間の詳細は以下の通りです。
大きさ:縦・横・高さの合計が260cm以内(最長辺150cmまで)
重さ:50kgまで
料金と配送時間(重さ10kgの荷物を送る場合):
- アメリカ:33,880円、3日程度
- フランス:38,060円、3~4日程度
- 韓国:18,590円、3~4日程度
4. UPS
UPSは世界有数の国際総合物流企業で、2023年の総売上は910億ドルにのぼります。200以上の国と地域でサービスを提供しており、特に、日本からアメリカへの配送は最短翌日で到着するため、急ぎで荷物を送りたい場合におすすめです。
UPSの航空便で発送できる国際小包の大きさ、重さ、料金、配送時間は下記のとおりです。
大きさ:1梱包の最長辺274cm、胴回り合計400cmまで
重さ:1梱包あたり最大70kgまで
料金と配送時間(東京から重さ10kgの荷物を送る場合):
- アメリカ(ニューヨーク):38,608円、1~5日程度
- フランス:46,480円、5日程度
- 韓国:21,971円、5日程度
5. DHL
DHLは、50年以上にわたる国際輸送の歴史を持ち、世界220カ国以上の国と地域でサービスを提供しています。2023年の売上高は818億ユーロに達し、世界中の企業や個人に選ばれている物流企業です。
DHLで海外に発送できる国際小包の大きさ、重さ、料金、配送時間は下記のとおりです。
大きさ:1梱包あたり最大貨物寸法(縦 × 横 × 高さ)120cm × 80cm × 80cm
重さ:70kg
料金と配送時間(重さ10kgの荷物を送る場合):
- アメリカ:48,990円、2~3日程度
- フランス:69,308円、3~4日程度
- 韓国:26,564円、2~3日程度
6. Fedex
FedEx(フェデックス エクスプレス)は、220を超える国と地域でサービスを提供する世界最大規模の総合航空貨物輸送会社です。特に、eコマース事業者向けには、システムと容易に連携できるFedEx APIを提供しており、迅速かつ効率的に出荷が可能です。また、指定日時輸送サービスも行っており、時間厳守の配送ニーズにも応えています。
Fedexで海外に発送できる国際小包の大きさ、重さ、料金、配送時間は下記のとおりです。
大きさ:幅274cm、長さ + 周囲330cm
重さ:68kg
料金と配送時間(重さ10kgの荷物を送る場合):
- アメリカ:66,312円、1~2日程度
- フランス:90,709円、6日程度
- 韓国:39,100円、1~2日程度
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海外発送料金を安くする方法3つ
一般的に、国際小包の海外発送は、国内発送と比較して料金が高くなりますが、少しの工夫でコストを抑えることが可能です。ここでは、国際小包の海外発送料金を安くするための3つのコツを紹介します。
1. 梱包の体積を小さくする
梱包を小さくすることで、配送料金を節約できます。多くの運送会社が荷物の体積や重量に基づいて料金を設定しているためです。
たとえば、荷物を少し大きめの段ボールに入れ、適量の緩衝材を使用すると荷物の安全性は向上しますが、大きすぎる段ボールを使うと不必要に体積が増え、送料が高くなってしまいます。荷物に合ったサイズの箱を使い、商品が破損しない程度の必要十分な緩衝材を使うことで体積を減らし、送料を安く抑えることが可能です。
小型荷物の送料比較についての記事も参考にしてみてください。
2. 梱包を適切に分割する
大きな梱包は、分割することでコストを抑えられる可能性があります。
たとえば、重さ6kgの分割可能な荷物をアメリカに送る場合を考えてみましょう。日本郵便の国際郵便では、2kgまでの荷物は小形包装物として扱われます。6kgの荷物を2kgずつ3つに分割した場合、料金は1つあたり4,820円で、3つの合計は14,460円となります。一方で、そのまま6kgの荷物として送ると、国際小包として扱われ、料金は16,700円です。梱包を分割した方が2,240円安くなります。
このように、梱包を適切に分割することで、全体の送料を安く抑えることができる場合があります。
3. 割引制度を利用する
運送業者の割引制度を利用することで、海外発送のコストを節約することができます。たとえば、日本郵便では一度に10〜49個の国際小包を発送すると、10%の割引が適用されます。
重さ10kgの荷物を10個東京からアメリカへ発送する場合、料金は以下のようになります。
- 通常:26,700円 × 10個 = 267,000円
- 10%割引:26,700円 × 10個 - 10% = 240,300円
この場合、割引制度を活用することで26,700円の節約になります。
海外発送をする際には、各運送業者の割引制度の有無や内容をしっかりと確認し、利用可能な割引を最大限に活用しましょう。物流コストを削減するコツも合わせて参考にしてみてください。
まとめ
国際小包を海外発送する方法や料金比較、海外発送のコストを節約する方法を紹介しました。越境ECなどで国際小包を海外に発送する際には、以下の4つの方法があります。
- 船便:料金が最も安いが、配送に1〜3ヶ月かかる
- 航空便:より迅速だが、船便よりも料金が高い
- SAL便:船便より料金が高いが、通常の航空便よりは安く配送可能
- EMS:最も料金が高いが、4つの方法の中では最も速く配送可能
荷物を小さく梱包したり、適切に荷物を分割したりすることで送料を抑えることができます。それぞれの配送方法の特徴を理解して、最適な選択を行いましょう。
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よくある質問
国際小包料金が一番安いのはどこ?
国際小包で最も料金が安いのは日本郵便の船便です。ただし、配送に1〜3ヶ月かかるため、急ぎの場合は他の配送オプションを検討することをおすすめします。
国際小包の発送にインボイスは必要ですか?
はい、国際小包を海外に発送する際にはインボイスが必要です。荷物1つにつき1部必要なので、漏れがないように準備しましょう。
国際小包で送れないものはありますか?
国際小包では、航空危険物にあたるもの(スプレー缶、香水、アルコール飲料、モバイルバッテリー、電子タバコ、マニキュア、など)は送ることができません。その他、送付先の国によってアルコール類や食品類など、禁止されているもの(禁制品)は異なるため、事前に確認が必要です。
文:Hiroya Fujiwara