海外に向けて商品を販売したいけれど、難しそうだからと、始める前からあきらめていませんか?
すでにハンドメイド商品を国内向けに販売している方や、海外で売れそうな商品を見つけた方にとって、海外販売は顧客層を大幅に増やすチャンスです。人口が減り続ける日本から、海外に向けて商品を販売することで、ビジネスチャンスは大きく膨らみます。
世界の越境市場規模は2023年には6兆3000億ドルを記録し、小売販売の5分の1近くがオンラインによるもので、2027年にはそれが4分の1を占めるようになる予測されています。
ここでは、海外販売する方法や、海外販売に対応するネットショップ開業の方法や注意点、また、既に海外へ商品を販売している成功事例(動画付き)を紹介します。
海外販売する方法は3通りある
- Amazonなどの海外販売に対応するECモールに出品する
- 海外販売向けのECショップを開業する
- SNSで商品を売る
1.Amazonなどの海外販売に対応するECモールに出品する
AmazonやeBayといった世界的にも有名な海外のECモールに出品することで海外販売を実現できます。
集客力と認知度が高いのが最大のメリットである海外のECモールですが、毎日、何百万というユーザーがアクセスするため、出品した後に宣伝や集客をせずとも、商品が世界の誰かの目にとまることになります。
実際に、中国で1位のシェアを誇る「Tmall(天猫)」には毎月6.99億人のユーザーが訪れています。
他にも有名なモール型ECサイトはたくさんあり、国内で知名度の高い楽天市場でも、海外販売が可能です。
2.海外販売向けのECショップを開業する
ネットショップ開設サービスなどを使えば、自社型ECサイトを構築して海外販売を始めることができます。自社サイトは、集客するのは難しいかもしれませんが、モール型出品と違って、自分のネットショップのデザインなどを好きなようにカスタマイズでき、また、モールへの出店料などがないため利益率が高いのが特徴です。
初心者でも構築できるECサイト構築サービスはこちらの記事で詳しく解説されているので、最適なネットショップ運営サービスを選びましょう。
ECサイトとは? 種類・サイト運営方法を成功例とともに紹介!【基礎知識】
3.SNSで商品を売る
インスタグラムのショップ機能(商品タグ)やライブ機能を利用することでSNSアカウントを運用しながら商品を販売することができます。
ショップ機能はインスタグラムだけでなく、Facebookにもあり、ECサイトと連携させて商品を販売することができます。Facebookのプラットフォームを利用して商品を販売すれば、顧客のターゲットを絞って広告を出すこともでき、海外のユーザーにもリーチすることができます。
海外販売に強いECサイトの特徴
- 現地言語への切り替え機能がある
- 海外向けの決算手段を備えている
- 海外発送に関する情報が明記されている
現地言語への切り替え機能がある
現地の人がECサイトを開いた時に、その国の言語で商品説明などが表示されていないと、サイトからの離脱率が高くなってしまいます。
自社サイトを多言語対応させるためには、AmazonやeBayといった越境ECモールが提供している翻訳機能を利用するのが便利です。
自社サイトを運営する場合は、翻訳サービスなどを利用し、翻訳されたページを用意したり、ASP型ECサイトが提供している翻訳アプリ(Langify)やテンプレートを利用する
のがいいでしょう。
海外向けの決済手段を備えている
海外販売を実現するためには、ECサイトが現地の通貨で値段表示をし、それらの通貨に対応する決済手段を備えていることが必須です。
代表的な決済手段には、「PayPal(アメリカ)」、「Stripe(アメリカ)」、「Alipay(中国)」などがあります。
ベネズエラのバーガーキングやカナダのKFCはビットコイン決済をすでに導入していますが、ECサイトでもShopifyの様に暗号通貨決済導入が可能になるサービスも近い将来次々と出てくるでしょう。
海外発送に関する情報が明記されている
海外販売を成功させるためには、海外発送の送料の表示を明確にすることや、海外の住所入力を可能にすること、そして商品の配送手段を決めて配送コストを知っておく必要があります。
越境ECでユーザーが商品を買う際に、「関税」が購入者側にかかることは初めて越境ECサイトを利用するユーザーは知らない場合が多いため、後にクレームなどに繋がる可能性もあります。
そのため、商品購入ページでは商品の金額+配送料+関税の金額が明確に表示されていることが望ましいです。
海外発送のためには、Easy Rates Japan Postというアプリを使えば、日本郵便の配送方法や料金を表示させる機能を使用することができます。
また、自分で海外発送をするのが面倒な場合は、海外発送代行サービスを利用するのも1つの手段です。手数料はかかりますが、場合によっては海外発送代行サービスを利用した方が配送コストを抑えられることもあります。
「転送Japan」や「ロケーションズ」は越境ECでも有名な海外発送代行サービスです。
海外販売ができるECモール5つ
Amazon(アマゾン)
日本でも日常的に利用している人が多いAmazonは、アメリカを中心に、世界180国以上で利用されています。
アマゾンにはAmazonグローバルセリングプランがあり、グローバル出品連携ツール(BIL)を使用すると、複数のマーケットプレイスに出品したり、各国のサイトの価格を同期したりすることができます。
eBay
オークションサイトとしてアメリカで設立されたeBayは、国内では知名度は低いものの、世界最大級の海外モールで、190か国以上で利用されています。
中古品でも気軽に出品することができ、世界的にみてもユーザー数が多く、珍しいものでも売れやすいです。
Tmall Global (天猫国際)
中国で最大の越境ECプラットフォームである「Tmall Global」は日本企業が中国に進出したい時に最も多く使われる越境ECプラットフォームです。
法人向けで、販売するまでの手続きは煩雑ですが、成功すれば売上額は日本では想像できない桁違いの数字になるでしょう。
JD Worldwide(京東全球購)
Tmall Globalと同等の人気な越境ECプラットフォームです。中国での越境ECビジネスを考えている人はTmall GlobalかJD Worldwideを選択肢に入れる人が多いです。
Etsy
世界最大規模のハンドメイドを販売できるアメリカのECサイトで、日本語にも対応しているため、ショップの開設が簡単にできます。ハンドメイド商品を海外販売したいと考えている場合は、Etsyのサイトを閲覧してあなたの商品と似た商品を比べてみましょう。
海外販売ができる国内のECサービス
不明点が多くでてくる海外販売を行う際、日本語サポートのある国内サービスを利用すると安心です。ここで、海外販売に対応したショップを作ることができる、日本にECプラットフォームを紹介します。
Shopify
Shopifyは世界175カ国以上で利用されており、店舗数は170万を超える、世界最大のECプラットフォームサービスです。
デザイン性が高く、初心者でもネットショップのカスタマイズがしやすいです。また、Shopifyアプリを活用して在庫管理や海外発送をスムーズに進めることができます。
カラーミーショップ
国内最大級のネットショップ作成サービスとして知られているカラーミーショップは、GMOの提供するサービスです。
BASE
無料のASP型ECサイトとして有名なBASE(ベイス)は、2023年には開設されたネットショップ数が200万を超えました。
年会費と月額費用が無料で手軽にネットショップを作成できます。
海外販売のメリット
市場拡大
海外に向けて商品を販売するということは、地理的な制限を超え、顧客基盤を世界に広げるということです。
日本では少子高齢化で労働人口が減少し続けており、厚生労働省の予測によれば日本の生産年齢人口は2040年には5,245万人にまで減少すると見ています。
日本だけに販路を狭めずに、世界に商品を販売することができれば、人口の多い他の経済大国に商品を届けることができ、思いもよらない場所へビジネスを拡大することができます。
日本で需要が低くても海外で需要が高い商品がある
ジャパンブームにより、日本では価値がないものでも、海外では高値がついたりすることがあるため、国内で簡単にビジネスチャンスをつかむことができます。
海外で売れている商品の例として有名なのは、古着物、中古のアニメフィギュアや日本酒などがあります。
日本のゲーム機なども人気があり、例えばポーランドのeBayでエヴァンゲリオンのたまごっちである「Evatchi」を検索してみると266件も売り出されています。
他にも様々な国で全くジャンルの違う日本の商品が売られているので、中古ショップや物置にあるようなものを海外の販売サイトで検索して、どんなものに高価がつくのかを調べてみるといいでしょう。
他にも様々な国で全くジャンルの違う日本の商品が売られており、リサーチしてみることで穴場を見つけ、ニッチな市場を探し出すことができます。
収益の多様化
日本という単一市場から、外国の市場に進出することで、収益源を多様化して安定させることができます。海外で売れた商品の利益を外貨で貯金し、円安の時に日本円に換算すると、収益が上がるなど、日本が不景気でも、海外販売から恩恵を受けることができます。
また季節に依存する商品も、国内では季節外でも、気候が異なる海外では需要があるため、そのような商品を年中通して売ることも可能です。
海外販売をする上での注意点
関税がかかる
海外に商品を発送する際は、配送料の他に「関税」がかかります。
関税の手続きは面倒なので、手続きに必要な書類準備や知識をあらかじめ身につけておくことが大切です。
ちなみに消費税に関してですが、日本で商品を仕入れたものを海外に輸出する場合は、一定の条件を満たした場合消費税が還付されます。
消費税還付についての情報は国税庁から確認できます。
送料が高い
越境ECでは国内配送と違って、海外発送の際にかかる送料が高いのがネックです。
越境ECサイトで購入することに慣れていないユーザーは、この配送料金が高いことから購入を躊躇してしまうケースも少なくありません。
配送が遅れる可能性がある
時期によっては配送が遅延する可能性があり、災害や戦争などで物流が滞ることもあります。
対策としては、あらかじめ顧客に配送の遅延の可能性があることや、配送状況を明確化して安心させるのが
国によって輸入禁止の商品や成分がある
国によっては輸入禁止の商品や成分があることを知っておきましょう。
商品をリサーチする段階で分かる情報は多いですが、海外発送する際に必ず確認しておきたいポイントのうちの1つです。
例えば、ドバイでは日本の醤油が輸入禁止されていますが、なぜだか分かりますか?
日本の工場で作られた醤油には、「アルコール」が3%程含まれているからです。
イスラム教が国の宗教であるアラブ首長国連邦では、飲酒はタブーとされています。
そのため、中東の地域で醤油を売るためにキッコーマンは「ハラールしょうゆ」を開発し、アルコールが含まれていない醤油を販売しています。
2017年にアラブ首長国連邦の気候変動・環境省がキッコーマンの醤油の輸入を禁止するまでは、ドバイでは日本で製造されたキッコーマンの醤油が輸入されていたそうですが、突然このような報道があったようです。
この例からも分かるように、突然思いがけない商品が輸入禁止になるケースもあるので、現地のニュースにも常にアンテナを張っていなくてはなりません。
顧客対応のための人材・システムの必要性
顧客のお問い合わせメールや電話対応のためには、日本語だけでなく顧客がいる現地の言語に対応させる必要があります。
機械翻訳だけでもなんとかなるかもしれませんが、確実に顧客のクレームやトラブルが分からないとユーザーの満足度が落ちてしまい、リピーター顧客になってくれる可能性は大幅に下がってしまいます。
そのため、海外からのクレームに対応できる人材やシステムの準備が必要となります。
海外販売の成功例(動画付き)
海外販売のメリット・デメリットや注意点などを踏まえた上で、どのようなネットショップが開業してから成功したのでしょうか?
ここからは、実際にネットショップを開設して海外販売に成功した事例を紹介していきます。
世界と繋がる窓:Atmoph
アトモフがネットショップで販売している「Atmoph Window(アトモフ ウィンドウ)」は動画と音だけでまるでその場にいるかのような体験ができる「デジタル窓」です。
ドラえもんの「どこでもドア」を想像させるこの画期的な商品は、もともと任天堂で働いていた姜京日さんと中野恭兵さんによって開発されました。
海外販売を考えるきっかけになったのは、先行予約販売から始めたクラウドファンディングだと上のインタビュー動画で姜京日氏は語っています。
日本からだけではなく、アメリカやカナダ、そしてヨーロッパなど世界中からの購入者がいたので、そのままオンラインで海外へ向けて商品を届けたいという想いから、今ではディズニーとのコラボ商品や「Atmoph Window 2」という従来のAtmoph Windowからアップデートされた商品を生み出しており、ネットショップ開業してから成功への道を辿っています。
AKEBONO TEA
田中美怜(みさと)さんは、日本茶を日本だけではなく、海外の人にも広めたいという想いから、日本茶にハーブやスパイスを取り入れた「AKEBONO TEA」のお茶のビジネスを始めました。
日本茶を海外の人に受け入れてもらいやすいように、海外の紅茶の様にハーブやスパイスを日本茶に混ぜても良いのではないかという素晴らしい発想から生まれた「AKEBONO TEA」は、国内でも海外でも大人気のオーガニックティーブランドとして成功しています。
身長155cm以下の女性向けアパレルブランド: CHOCHINA
CHOCHINAは身長155cm以下の女性向けアパレルブランドです。
創業者の清水葵さん(151cm)と田中絢子さん(148cm)は、欲しい服をネットショップで買おうとしても、なかなかシルエットや丈の長さが合う服がなかったことなど、小柄であることから服選びに課題感を感じていました。
その問題解決のためにネットショップを開業し、今ではインスタグラム上でライブ配信を行い、コメント欄で商品企画をフォロワーさん達と一緒に行ったり、意見をもらうなど顧客第一で、SNSを活用してネットショップビジネスを展開しています。
清水さんと田中さんは、後に海外展開することを視野に入れ海外対応しているShopifyのネットショップ作成サービスを選んだとインタビューで語っています。
Fair Havens
字幕ボタンをクリックすれば、日本語字幕でJason TayとKarenの成功ストーリーが聞けます。
FairHavensの共同創設者であるJason TayとKarenはシンガポールからのGMOを含まないナチュラスキンケア製品(石鹸、保湿剤、ボディバーム、エッセンシャルオイル)をアメリカ、イギリス、そしてシンガポールに向けてAmazonで販売しています。
Amazonで販売する以前、Jasonは教師、Karenは弁護士だったためビジネスに関する知識がなく、実店舗を開くか、Amazonのプラットフォームを利用してオンライン販売するかの2択に絞った結果、Amazonでの海外販売に成功し、総売上の半分以上がAmazonからのものだとインタビューで語っています。
中古のバック・ジュエリーの販売
DCPエンタープライズの店長である岩堀来弥氏は、eBayで中古のバックや中古のティファニーのジュエリーなどを販売しています。店舗での買い取りや販売も行っているそうですが、なんと90%以上の売り上げがECサイトから出ているそうです。
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海外販売に関するよくある質問
海外販売とは?
個人で海外向けネットショップを始めるには?
・集客力と認知度が高い海外モールに出店
・海外向けのECサイトを構築する
・SNSで商品を売る
・現地の展示会に出展する
海外販売を始めるにはいくら必要?
海外販売を始めるリスクはなに?
・関税がかかる
・送料が高い
・配送が遅れる可能性がある
・国によって輸入禁止の商品や成分がある
・顧客対応のための人材・システムの必要性
・販売先の国の経済・政情の理解