サロンを運営するなかで、日々の予約管理や会計、お客様情報の記入などの業務には思いのほか時間がかかりがちです。「事務的な業務の負担を減らせたら、スタッフのスキルアップやサービス向上に時間をつかえるのに」と悩んでいるサロンも多いことでしょう。
そこでこの記事では、サロンの効率的な運営をサポートするツールとして、全国的に導入が進んでいる「サロンボード」の基本機能や使い方、導入のメリットなどを解説しています。
サロンボードとは
サロンボードは、美容室やエステなどのサロン業界向けの予約・顧客管理システムです。サロンボードは美容系サロンの検索予約サイトとして有名な「ホットペッパービューティー」(運営:株式会社リクルート)が提供しているシステムで、同サイトからの予約もリアルタイムでシステムに反映され、電話や自社ホームページから受けた予約も一元管理できるようになっています。
他にも、事務作業や情報管理、集客をサポートしてくれる機能を備え、サロン運営の効率化に特化した使い勝手の良さが特徴です。
サロンボードの基本機能と使い方
1. 24時間のネット予約対応
サロンボードには予約管理機能が備わっており、ユーザーはインターネットを通じて24時間365日、いつでもどこでも予約できます。スタッフが施術中でもムリなく予約を受け付けることができるため、人件費や機会損失の削減につながります。予約が入った際の通知メールも設定できますから、予約を見逃してしまう心配も少なくなるでしょう。加えて、電話予約や自社サイトからの予約も含めたすべての予約情報を一元管理することも可能です。
2. 顧客情報の管理機能
顧客が予約時に入力した情報は自動的にサロンボードに反映されるため、手動での入力は不要です。顧客の氏名や住所、電話番号、誕生日、職業といった基本情報はもちろん、それぞれの来店記録や選んだメニュー、過去の施術履歴、メールの通信履歴まで記録できます。コミュニケーションを大切したい場合は、施術時に交わした会話内容の記入も可能です。顧客情報は「1週間以内に来店した」など複数の条件から検索することもできるため、リピート来店を促すといったアプローチも簡単になります。
またサロンによっては、従業員を守るため過去に問題を起こした顧客を出入り禁止にしている場合もあるでしょう。「要注意チェック」を設定しておけば、該当する顧客が予約した際に要注意人物であることが管理画面へ表示されるようになります。予約拒否のやり方としては自動で行うことはできませんが、要注意人物のアラートが出た予約に対してキャンセルをお願いすることで、実質的に予約の拒否が可能です。
3. メッセージ機能
顧客に対して、予約のリマインダーやキャンペーン情報、誕生日のお祝いなどのメッセージを送信することができます。さらに、メッセージ機能を通じて、クーポンの配布も可能です。サロンボードで設定できるクーポンには、全顧客を対象とするものから、新規・再来客向けのものまで準備されています。
メッセージ・クーポンともに、顧客一人ひとりを選択して送信するだけではなく、条件を設定して該当者のみに一斉着信したり、自動配信したりすることも可能です。状況に応じて使い分けましょう。
4. レジ機能
サロンボードには、POSレジ機能も備わっています。会計処理や修正、レジ締めなどに対応し、各サロンの運営に合わせてスムーズに操作できるようメニューの追加や削除も容易に行うことができます。会計内容は一時保存できるため、処理中に予約や問い合わせの電話があった際にも待たせることなく対応できる点も特徴のひとつです。
5. 集計・分析機能
売り上げは、日別・月別・メニュー別・スタッフ別などの軸で集計が可能です。データは過去3年間にわたって比較でき、客数や単価がどのように推移しているのかを一目で確認できます。また、色分けされたグラフやチャートによる視覚的にわかりやすい表示レイアウトも特徴です。その他、下記のような項目での複雑な分析も簡単に行えるように工夫されています。
- 店舗分析:月や年別での売り上げ・来客数
- リピート分析:新規・再来・固定・リピート率・失脚率
- 来店サイクル分析:顧客の来店周期
- 優良顧客分析:顧客の来店回数・客単価
これらの情報・機能をうまく活用すれば、サロンの強みや課題を把握したり、より効果の高いキャンペーンやマーケティング施策も効率的に実施できるようになります。たとえば、売り上げの落ちやすい時期に全員対象の割引キャンペーンを実施したり、平均注文額を算出して金額の低い顧客に向けて追加メニューの割引クーポンを配布して単価をアップさせたり、といった施策が有効となります。
6. 求人ページの作成機能
サロンの人材を募集するための求人ページ作成機能が備わっており、テンプレートに情報を入力するだけで募集要項やアピールポイント、応募先の情報を含む求人ページを簡単に設計することができます。作成した求人ページは「ホットペッパービューティー」から検索でき、自社ホームページやSNSなどにリンクを設置することもできます。さらに、求人ページへのアクセス数や応募数をアクセスレポートで確認することも可能です。
7. スマート支払い機能
サロンボードのスマート支払い機能は、オンラインでのクレジット決済を可能とする機能です。顧客が予約時にクレジットカード情報を登録しておけば、来店時に現地での会計手続きが不要となり、スムーズに施術を受けることができます。ただし、ネイルサロンやまつげサロン、リラクゼーションサロン、エステサロンなどに該当する業種では利用できませんので、注意しましょう。
8. 掲載管理機能
サロンボードには、ホットペッパービューティーに掲載する情報を管理する機能が備わっています。この機能から、店舗情報やスタッフのプロフィール、フォトギャラリー、提供メニュー、利用可能なクーポンなど、各種コンテンツの更新が可能です。また、サロンのブログをホットペッパービューティーに直接投稿したり、ホットペッパービューティー上に寄せられた口コミへ返信したりすることもできます。ただし、サロンボード上で口コミの削除はできませんので、あらかじめ理解しておきましょう。
サロンボードの導入コスト
サロンボードそのものの導入は無料となっていますが、利用するにはホットペッパービューティーへの掲載が必須となるため、掲載料と予約手数料が主なコストとなります。またスタッフの求人機能を利用する場合も、別途料金が必要です。
掲載料
ホットペッパービューティーでサロン情報を掲載する際には、掲載料を毎月支払う必要があります。掲載料金のプランは、掲載料の高い順に「プラチナ」「バリュー」「シンプル」「ライト」といったカテゴリーに分けられています。基本的に掲載料の高いプランほど、ホットペッパービューティー上で他社より先に自社の情報が紹介されたり、掲載範囲がより広くなったりするなどの利点があります。
掲載料金はサロンの位置や規模によって異なるため、具体的な金額を知りたい場合は、ホットペッパービューティーへの問い合わせが必要です。
予約手数料
ホットペッパービューティーを通じて予約が入った際に、予約されたメニュー料金の2%が手数料として徴収されます。
サロンボードを導入するメリット
確実な予約管理が可能になる
サロンボードでは、ホットペッパービューティーからのオンライン予約だけでなく、電話や自社サイトからの予約も集約して一元管理することができます。予約状況はオンラインですぐ反映され、スタッフごとのスケジュールやシフトの入力・設定もできるため、ダブルブッキングやスタッフの重複配置といったリスクを減らし、確実な予約の管理が可能となります。
集客力を高められる
サロンボードのメッセージ機能や分析機能を通じて、集客力を高めることができます。販促メールはもちろん、期間限定キャンペーンや誕生日の特別割引など、さまざまなクーポンを顧客に配布できます。クーポンの送信回数や送信時期に制限はかけられていないので、定期的に配布することでリピーターの獲得や顧客維持に役立つでしょう。
従業員への負担を軽減できる
サロンボードの導入は、従業員の負担軽減にもつながります。たとえば、予約情報と会計情報を連動させると、2ステップで会計が完了できるようになるため、会計処理の負担を減らせます。ポイントの付与も手作業で行う必要がなくなり、会計時にありがちなトラブルを未然に防ぐことにもつながるでしょう。
さらに、手作業だと時間がかかることの多い予約管理や、販売データの集計・分析といった業務もサロンボードが担うため、これらの業務にかかる労力を減らすことも可能です。
サロンボードを導入するデメリット
サロンボードの導入は無料です。「無料」という点に注目してしまいますが、有料でホットペッパービューティーにサロン情報を掲載しなければ、サロンボードは利用できません。事実上、利用のためのランニングコストがかかる点がデメリットとして挙げられます。
ホットペッパービューティーへの掲載手順
- 申し込み
- 打ち合わせ、契約
- 掲載原稿の作成、確認
- サロンボードの導入・設定
- 掲載
まずは、ホットペッパービューティーのお問い合わせフォームから問い合わせ・掲載申込を行いましょう。担当者との打ち合わせでは、サロンの特徴や顧客層などのヒアリングをもとに料金プランなどが提案され、納得できれば契約となります。もちろん、集客方法やメニュー名、価格などのアドバイスを受けることもできますので、運営するサロンに合った活用方法を具体的にしていきましょう。
契約が確定したら、ホットペッパービューティーに掲載する原稿を担当者とともに作成していきます。原稿の最終確認が取れたら、サロンボードの導入や使用方法の説明を経て、いよいよ掲載となります。また、掲載後はサロンボードに集計されたデータを参考にしながら、掲載情報やメニュー、キャンペーンなどを工夫していきましょう。
まとめ
サロンボードは、美容室やエステサロン向けの予約・顧客管理システムです。パソコンやスマートフォンから利用可能で、予約や顧客情報の一元管理が行えます。レジ機能も充実しており、売上集計といった会計業務の効率化も可能となります。
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サロンボードのよくある質問
サロンボードとは
サロンボードは、株式会社リクルートが運営する予約・顧客管理システムです。パソコンやスマートフォンから利用可能で、予約や顧客情報の管理、レジ機能といったサロン運用に欠かせない機能を無料で使えることが強みです。ただし、利用にあたってはホットペッパービューティーへの掲載が必要で、掲載にはコストがかかる点には注意しましょう。
サロンボードをスマホ版からPC版に切り替える方法は?
サロンボードをスマホ版からPC版に切り替えるには、パソコン版のログインページからログインをする必要があります。スマホ版だと確認できる予約が1日分なのに対し、パソコン版では14日分の確認が可能です。このように、PC版の方が多くの機能を利用できるため、スマートフォンでサロンボードを利用する場合も、PC版の利用をおすすめします。
サロンボードとAirレジ(エアレジ)は連動していますか?
サロンボードとエアレジは、直接的に連携しているわけではありません。しかし、エアレジの技術協力を受けて、同社の無料POSレジアプリを基にした会計レジ・売上管理機能がサロンボードに追加されました。
文:Yukihiro Kawata