YouTube広告は、YouTubeを収益化させる方法の一つとして広く知られていますが、広告主としても多くの企業がマーケティングに活用しています。しかし、YouTube広告は種類が多く、どれを使えば効果的なマーケティングができるのかわからない人もいるでしょう。この記事では、広告を出稿したい企業や事業主向けに、YouTube広告の仕組みや費用、種類について解説します。
YouTube広告の仕組み
YouTube広告は、企業などの広告主が予算や単価を設定し、表示された回数やクリック数などに応じて費用が発生する仕組みになっています。広告主が設定した予算上限に達したら、自動的に広告掲載が終了します。
ユーザーがYouTubeを閲覧するたびに、どの広告を表示させるかを決めるオークションが行われます。あらかじめ設定した単価が入札額となり、その入札単価(1回の掲載に支払える上限金額)や広告の品質、コンテキスト(キーワードや所在地)などの要素によって、そのユーザーにとって最適と判断された広告が表示される仕組みです。予算設定の方法には2種類あり、広告掲載する期間の予算から1日あたりの平均予算を算出する方法と、複数の広告を掲載する場合、全体での予算を各広告に分配し平均化する方法があります。
YouTube広告の種類6つ
1. スキップ可能なインストリーム広告
スキップ可能なインストリーム広告は、YouTube動画の前後や途中に表示される広告で、ユーザーが30秒以上視聴またはクリックした場合に広告費が発生します。
そのため、ユーザーが30秒以内に広告をスキップしたり、広告をクリックしなかったりした場合には費用は発生しません。
広告が再生されてから5秒後にスキップできるので、視聴者へのストレスは軽減できますが、最後まで見てもらえない可能性があります。
スキップ可能なインストリーム広告は、YouTube動画以外にもGoogle動画ネットワークに含まれるサイトやアプリにも配信されるため、より多くの視聴者に広告を表示させることができるのがメリットです。また、動画の前(プレロール)に配信することでユーザーの記憶に残りやすくなるという調査結果もあります。
2. スキップ不可のインストリーム広告
スキップ不可のインストリーム広告は、YouTube動画の前後や途中に表示される15秒以下の広告です。表示数に応じて広告費が発生します。
スキップ不可のインストリーム広告は、確実に視聴してもらえる一方で、広告をとばせないことから視聴者がストレスを感じてしまう可能性もあります。ユーザーがネガティブな印象を持たないように、製品やサービスの魅力を簡潔に伝え、エンターテインメント性を持たせるような工夫をしなければなりません。
露出度を重視する目標インプレッション単価を採用した広告のため、ブランド認知度の向上やリーチ拡大を目的とした広告配信におすすめです。
3. インフィード動画広告
インフィード動画広告は、YouTubeの動画検索結果や関連動画の横、モバイルページに表示される広告です。ユーザーが広告をクリックして視聴した場合、または広告が10秒以上再生された場合に広告費が発生します。
動画のサムネイル画像とテキストで構成され、ユーザーがサムネイルをクリックすることで広告が再生されます。
インフィード動画広告の特徴は、自然な形でユーザーの視界に入ることです。動画の検索結果や関連動画欄に表示されるため、視聴者にストレスを与えることなくスムーズに商品やサービスをアピールできるでしょう。
4. バンパー広告
バンパー広告は、動画の前後や途中に表示され、最長6秒間スキップなしで視聴してもらえる広告です。表示数に応じて費用が発生します。
露出度を重視する目標インプレッション単価を採用した広告のため、大量の視聴が見込めるのがメリットです。
6秒という短い時間を活用し、インパクトやメッセージ性のある動画広告を作成する、簡潔で覚えやすい内容にするなどして、ブランディングや認知度の拡大につなげることができます。
5. アウトストリーム広告
アウトストリーム広告は、YouTube以外のモバイルサイトやアプリに表示される動画広告です。ミュート状態で自動再生され、ユーザーがタップすることで、音声が流れる仕組みになっています。2秒以上自動再生されると費用が発生しますが、費用を抑えてリーチを拡大することを目的としているため、低予算でより多くの人にリーチしたい場合に適しています。
YouTubeユーザー以外にもリーチできるのがメリットである一方、ミュート状態で自動再生されるため、字幕を入れた動画を作成する、タップして音声ありで見たくなるような内容にするなどの工夫が必要です。また、アウトストリーム広告はYouTube上では配信できないモバイル専用広告なので、ターゲットの利用が多い媒体やデバイスが何であるかをしっかりと検討してから利用する必要があります。
6. マストヘッド広告
マストヘッド広告は、YouTubeのホーム画面上部で、最大30秒音声なしで自動再生される広告です。短期間で多くのユーザーにリーチできるため、新製品やイベントの告知など、拡散スピードの求められる広告に向いています。
配信方法は予約制でGoogleの営業担当者を通じて申し込まなければならず、他の広告よりも制限が厳しいという制約がありますが、ユーザーにもっともアピールできる広告です。費用は表示数に応じて発生しますが、ほかの動画広告と比べて費用が高額になる傾向にあります。
YouTube広告の設定方法
1. Google広告アカウントを作成する
YouTube広告を配信するには、Google広告アカウントが必要です。アカウントを作成するには、宣伝したいビジネス(店舗やサービス)のメールアドレスとウェブサイトが必要になります。ウェブサイトがない場合は、小規模ビジネス向けの広告サービスであるスマートアシストキャンペーンを使用することで広告を掲載できます。
Google広告アカウントには、スマートモードとより高度な設定ができるエキスパートモードの2種類があります。デフォルトの設定はスマートモードになっており、後からエキスパートモードに変更することも可能です。ただし、エキスパートモードからスマートモードへの変更はできないので注意しましょう。
2. 動画キャンペーンを作成する
1) 目標を選択する
広告配信によって達成したい目標を以下の項目から選択します。
- 販売促進
- 見込み顧客の獲得
- ウェブサイトへのトラフィック
- ブランド認知度と比較検討
- 目標を設定せずにキャンペーンを作成する
2) 動画キャンペーンのサブタイプを選ぶ
広告を出稿する目的や戦略に合わせてサブタイプを選びます。
- コンバージョンの促進:商品の販売や見込み顧客の獲得を促進する
- カスタム動画キャンペーン:各種広告を使用し、設定をカスタマイズする
- 動画リーチキャンペーン:より多くのユーザーに表示する、または表示したユーザーに最後まで広告を見てもらうことで、予算内で最大限のリーチを獲得する
- アウトストリーム:YouTube以外のウェブサイトやアプリでモバイル専用動画広告を表示する
- 視聴回数を増やす:商品を検討してもらえるよう広告で働きかける
- 広告シーケンス:複数の動画広告を決まった順序で表示し、ストーリーを伝える
3. 入札戦略と予算を設定する
予算を効率的に利用するために、視聴回数を獲得する、予算内でできるだけ多く目標達成するなど、複数ある戦略から広告の目的に合った戦略を選びます。
予算は1日の平均予算かキャンペーン全体の予算のどちらかを選択し、必要に応じて広告の掲載期間も設定します。
4. ターゲットを設定する
YouTube広告では、特定の興味や関心、属性を持つユーザーグループに広告を表示させるオーディエンスターゲティングが利用できます。下記はその基準の一例です。
- ユーザー属性グループ:ユーザーの年齢や性別、子供の有無、世帯収入など
- 詳しいユーザー属性:大学生、住宅所有者、最近子供が生まれたなどの特徴
- 興味関心:特定のトピック
- データセグメント:過去の広告や自社のYouTubeチャンネルとの接触履歴
そのほかにも、広告を配信する言語や地域、配信場所なども設定できます。
5. 入札単価を決める
入札単価が高くキーワードとの関連性が高いほど、オークションで広告が表示される可能性が高くなります。キャンペーン作成の初回は、以下のいずれかの方法で入札単価を設定します。
- Google広告に入札単価を自動調整させる:予算内で最大限にクリックを獲得できるよう、Googleが入札単価を自動調整する。初めて広告を利用する広告主や入札単価設定の管理をできるだけ少なくしたい広告主に最適。
- 入札単価を手動で設定する:自分で個別に上限クリック単価を設定する。Google広告の利用歴が長く、定期的にアカウントをチェックし入札単価を調整できる広告主に最適。
6. 動画広告の配信設定をする
配信するYouTube動画のURLと広告の種類を選択し、次の項目を入力します。
- 最終URL:広告を見たユーザーが遷移するページのURL
- 行動を促すフレーズ:クリックを促すフレーズ。ボタンとして表示され、最終URLのページにユーザーを誘導する
このほかに、選択した広告の種類によって、見出しや説明文、広告に表示されるURLなどを設定することもできます。
最後に、「キャンペーンの作成」をクリックしたら審査が開始されます。審査は1営業日程度で完了する場合が大半です。
YouTubeの広告費用
YouTubeの広告費用の相場は以下のとおりです。
- 1再生あたりの費用:3〜20円程度
- 1クリックあたりの費用:50〜100円程度
- 1,000回表示される費用:1,000円程度
ただし、業界や広告の内容によって費用は異なります。
YouTube広告の仕様
YouTube広告で推奨される仕様は以下のとおりです。
- フォーマット:MPG(MPEG-2・MPEG-4)
- ファイルサイズ:256GB以下
- 解像度
- 横向き:1,920×1,080px
- 縦向き:1,080×1,920px
- 正方形:1,080×1,080px
- アスペクト比
- 横向き:16:9
- 縦向き:9:16
- 正方形:1:1
推奨されていないサイズの広告は、アップロードされない可能性があるので注意しましょう。
YouTube広告を成功させるための9つのポイント
1. CTAを設定する
YouTube広告にCTA(コール・トゥ・アクション)を設定することで、視聴者をサイトに誘導し、商品購入やサービス利用につなげられます。
CTAとは、視聴者に具体的な行動を促す文言のことです。効果的なCTAを設定するには、メリットやとってほしい行動を具体的に伝えなければなりません。たとえば、「今すぐダウンロードして製品カタログをゲット」「期間限定のセール会場はこちらからアクセス」など、視聴者が行動したくなるような文言を加えましょう。
2. ターゲットを明確にする
ターゲットを絞ることで、効率良く広告運用ができます。顧客の属性や興味関心、行動パターンなどを基に、ペルソナを設定するのがおすすめです。ペルソナを設定することで、最低限のコストでも効率的に広告配信できます。
3. 字幕を追加する
YouTube広告に字幕を追加することで、ミュート状態でも視聴者にリーチすることが可能になります。字幕があれば音声を流せなくても内容を理解できるので、視聴環境などに影響されず最後まで見てもらえる確率も高くなります。字幕を追加する際は、内容と合致しているだけでなく、読みやすさや表示されるタイミングなども考慮しましょう。
4. 見栄えを良くする
YouTube広告では、視聴者を惹きつけるようなクオリティの高い動画を作ることが重要です。配信する広告を決めるオークションで評価対象となる広告品質では、クリック率が基準として利用されています。動画編集ソフトやGoogle広告が提供する動画制作ツールを利用して、視聴者がクリックしたくなるような高クオリティな動画広告を作成することで、品質評価をあげ広告が表示されやすくなります。
5. スキップされない工夫をする
YouTube広告では、広告がスキップされてしまわないよう、最初の数秒で視聴者の関心を惹きつける必要があります。役立つ内容やエンターテインメント性の高い動画、視聴者が共感できるような演出などを取り入れて、最後まで視聴してもらえるようにしましょう。
6. 広告の効果を分析する
YouTube広告を成功させるには、視聴回数やクリック率、コンバージョン率などを分析し、効果的な広告を作り上げていくことが重要です。。YouTube広告ではGoogle広告レポートやブランド効果測定などの分析ツールを無料で提供しているため、そういったツールで得た分析結果を基に、ターゲティングの見直しなどの対策を考えることができます。こうした分析と改善を継続的に繰り返すことで、より効果的なYouTube広告を設定できるようになります。
7. 複数の広告を組み合わせる
効果的に視聴者へのリーチを拡大するには、複数の広告を組み合わせることが重要です。複数の広告を組み合わせることで、それぞれのメリットを生かしデメリットを緩和できるため、広告の効果を最大限発揮できます。
たとえば、インストリーム広告は多くの視聴者へのリーチが期待でき、時間も長いことからブランドや製品について丁寧に伝えることができる一方で、スキップされてしまうリスクがあります。そこで、バンパー広告を組み合わせて短く印象に残るメッセージや映像をスキップなしで表示させます。この組み合わせによって、印象的な短い広告で認知度を高めつつ、長尺の広告でより詳しく視聴者にアピールすることができます。
8. 既存ユーザーの関心も集められるようにする
新規ユーザーよりも信頼関係が構築されている既存ユーザーは、継続的に製品やサービスに興味を持ってくれる傾向にありコンバージョンにつながりやすくなるため、既存ユーザーの関心を集められるようにしましょう。
既存ユーザーの関心を維持し、継続的に製品やサービスに関心を持ってもらうためには、リマーケティングが欠かせません。リマーケティングとは、過去に自社サイトを訪れたりコンテンツを利用したりしたことのあるユーザーをターゲットに設定し、広告表示する手法です。リマーケティングでは、ターゲットを既存ユーザーに絞り込めるため、広告費の削減につながる可能性もあります。
9. ランディングページに誘導する
ネットショップの集客力アップや製品やサービスの売上向上を目標とするのであれば、CTAボタンを設置する、広告上でURLを表示するなどして、潜在顧客を販売専用のランディングページなどに誘導すると良いでしょう。
まとめ
YouTube広告は、企業などの広告主が予算や単価を設定し、表示された回数やクリック数などに応じて費用が発生する仕組みになっています。無料広告と異なり、インストリーム広告やバンパー広告、インフィード動画広告など多様な広告を目的に合わせて使い分けできる、ターゲットの年齢や地域、関心事などを細かく設定できる、分析ツールを使って広告の効果を検証できるなどさまざまな利点があります。
YouTube広告を利用する際は、複数の広告を組み合わせる、CTAや字幕を追加するなどの工夫もすることで、より効果を上げることができるでしょう。
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よくある質問
YouTube広告は人によって違うものが表示される?
YouTube広告では、以下の情報を元にしたパーソナライズド広告の機能により、人によって異なる広告が表示されます。
- 年代や性別などのGoogleアカウントの情報
- YouTubeやGoogle検索などのアクティビティ
- アクセスしたウェブサイトの種類やモバイルアプリの利用状況
- 広告主のウェブサイトやアプリの訪問履歴
- Googleが提携先から入手したユーザー情報
YouTube広告は誰でも出稿できる?
YouTube広告は誰でも出稿できます。出稿の際には、Google広告アカウントとYouTubeアカウントが必要です。
YouTube広告を出稿するメリットは?
YouTube広告を出稿する主なメリットは以下のとおりです。
- 多くのユーザーにリーチできる
- ターゲットを絞ったマーケティングができる
- 費用対効果が高い
適切にYouTube広告を運用することで、商品やサービスの売上向上にもつながります。
文:Kana Fukuzumi